7/16〜7/20 まで、竹下 力・静の二人で、第二回目となる東北・単立教会を巡回してまいりました。
前回5 月に比べれば、津波によって破壊された多くの瓦礫もだいぶ撤去されています。
しかし、屋内や田畑にはまだまだ多くの泥が被った状態であったり、一見、広大な田畑であったかのような場所が、実は家屋や施設が立ち並んでいた場所だったりと、現地の人たちにとって、多くのものが失われた状態であることには変わりがありません。
また、「庭先に遺体が流れ着いていた」とか、「家族がこの先のどこそこで見つかった」など、多くの悲しみや痛みが記憶となって刻み込まれていることを感じます。
そんな失望感に負けまいと、前向きに新たな生活や、地道な復興作業を行なっているのが現状です。
そんな中を通って、各地の教会に辿り着く時、妙にほっとするのです。
教会で、聖書から慰めや希望の言葉が語られ、交流が持てた時の安堵感は、おろかな話かもしれませんが、普段感じ得ないほどでした。
今回は原発から22km という避難地域ギリギリのところにある原町聖書教会にも行ってまいりましたが、たとえ、どんなに小さな教会であっても、そこに主の教会があることの存在意義を改めて深く実感させられる巡回訪問の旅となりました。
各教会の先生方、皆様も被災者です。私たちも続けて、多くの励まし、希望、祈りの言葉を贈り続けたいものです。
■シーサイドバイブルチャペル (内藤智裕師 仙台市宮城野区新田2-12-4)

津波の直撃を受け、会堂が全壊したシーサイド・バイブル・チャペル。
今回も4 月末から始まった元喫茶店での礼拝に参加。礼拝中、竹下 静が5 曲ほど特別賛美のご奉仕もさせていただきました。
礼拝後は、お食事とともに、やはり喫茶店ということで、お土産として持参したドリップコーヒーを、皆さんでいただきました。
この日は全壊した教会近くの中野小学校の元校長先生(クリスチャン)も礼拝に参加。
わずか3 階建ての建物ながら、不思議と水がよけ約600 名が全員無事だったことを証されていました。
「荒野の十字架」が建てられている蒲生の元会堂の跡地の借金が、まだ残っているとのことでしたが、この元喫茶店は、2 階部分をサブベース基地として提供することを条件に支援団体「クラッシュジャパン」より1 年間分の家賃援助を受けることができたそうです。
当面、この喫茶店での教会活動になりますが、とてもいい雰囲気です。
若いメンバーも多く、主にある憩いの場として、大いに用いられていくことをお祈りください。
■石巻祈りの家 (家の教会 石巻市水明北3-13-28 阿部 一代表)
今回は、祈りの家の阿部さんや支援団体サマリタンズ・パース(ベンソン師)らが行なうボランティア活動に合流。
石巻市の南部に位置する新館地区は、およそ1 階部分が埋まるほどの津波が押し寄せた地域。
1 階部分は使い物にならず、「全壊」に指定されているほど。震災当初は道路からヘドロで埋まっていたそうですが、今もなお家屋の床下や、畑のヘドロの除去作業などを行なっておられます。
住民の方々も、夜は避難所で生活をしながら、日中、ヘドロを掻き出しながら建物を修復されている方もいらっしゃいました。

今回は特別に竹下 静・野外コンサートを企画してくださり、木製の手作り物置を改造した特製ステージまで用意してくれていました。
炎天下の中でしたが、リハーサル準備中から、通りの方が「今日は何かやるのか」「あとで来なきゃ」などと声をかけてくるほどで、近隣の方々、スタッフを含め、約90 名の方々が集まり、30 分ほどのコンサートを実施。
確かに、被災地にあって楽しみも少ないのかもしれませんが、これは阿部さんやサマリタンズ・パースによる献身的な働きが認められての
ことと感じました。その後一緒に、カキ氷も楽しませていただきました。
石巻祈りの家では、こうした復旧作業のほかにも、今後、仮設住宅入居者への支援、ケアも考えていらっしゃいます。
■ 原町聖書教会 (石黒 實師 福島県南相馬市原町区 牛来字出口174-20)
今回、初訪問となる南相馬市の単立・原町聖書教会。
南相馬市も、やはり津波の被害を多く受けています。ところが原発の影響で、復旧作業も遅れてしまったそうです。
沿岸部に近づくと、もともと水田か畑だったかのような広大な土地が…。

しかし、実際には、民家や施設などが建てられていた場所も多く、土地のおばあさんは「見たくない」とのこと。以前の南相馬を知らない私たちには、想像のつかない喪失感があることを知りました。

さらに海から離れた内陸部にまで津波の水は入り込んでおり、流された漁船が何艘も残されたままの場所もあります。船は車とも違い撤去にものすごい費用も掛かってしまうそうです。実際に田畑だった場所には、津波が運んだ海水の塩分のためか作物がない状態。

写真: 原発から20km地点
原町聖書教会は、そんな南相馬の原発から22km という避難地域ギリギリのところにある教会です。
石黒牧師は、ある教団から独立後、15 年間牧会してきましたが、今回の震災後もそのままこの地に残り、教会を守ってきました。
しかし、震災から1 か月頃までは、銀行、郵便局、スーパーなどのお店も開かず、40km 離れた相馬市までいかなければ、物資が入手できない状態に。5 月になってようやくスーパーが3〜4 件ほど開き、新聞も届くようになったそうです。
もともとウエディング・チャペル、調停委員などの仕事をしながら生計を立て、牧会していた石黒牧師。
震災の影響で今もチャペルの仕事はほとんどないとのこと。
一時は人口7 万人が1 万人程度まで減り、10 名前後の教会員もほとんどが避難していましたが、若いご夫妻のみ仕事の都合で仙台に移り住んだものの、そのほかの方々は一人一人と南相馬に戻ってこられるようになりました。

教会は、とても家庭的な雰囲気で、牧師先生ご夫妻を中心に「家の教会」に近いものを感じます。
まるで田舎の実家にでも帰ったときのよう。通称「ただいま」の教会です。初めて訪問させていただきながら、すぐに和んでしまいました。
ちょうどアシュラム(聖書デボーション会)の集いでいらした姉妹方もいらして、賛美、歓談の時を持たせていただきました。
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Holy Hope Project(聖望キリスト教会)では、被災地域に根ざした単立教会を中心に復興支援を行なっております。
・経済的援助
・現地訪問と現地レポート(顔の見える支援・交流)
・教会活動のお手伝い(救援奉仕、説教、音楽コンサート)
細くても長く、長期にわたる心の支援が必要です。趣旨に賛同してくださる方は、義捐金にご協力いただけましたら幸いです。
〒272-0034
市川市市川3-37-11 聖望キリスト教会 東北支援係
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